ビルやマンションの外壁タイル剥落を防ぐための外壁調査~赤外線調査~

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外壁タイルの落下事故件数は年々増加傾向にあります。
原因は様々ですが、つい最近では2021年10月7日の夜に千葉県北西部を震源とするマグニチュード6.1、最大深度5強、深さ75kmの地震が起きた際にもマンションのタイルが落下したとのニュースがありました。
地震が起きればタイルの落下も当然起こると一見思われますが、決して直結しているわけではありません。耐震基準が向上してきているように、外壁の施工レベルももちろん向上してきています。



外壁タイル剥落の原因として考えられる損傷

広範囲にわたるタイル浮き

コンクリートとモルタルの伸縮率が異なるために伸縮の速度に差があり、コンクリートとモルタルの接着の
弱い箇所に剥離現象(界面剥離)が発生します。
また、タイルのみに浮き現象が見られる場合はタイルとモルタルとの接着不良と劣化した目地部か
らの含水が原因となります。
このような状態を放置すると界面剥離が拡大し、剥離部モルタル及びタイルが自重により欠落し
て 人身、物損事故の発生につながる恐れが出てきます 。

①の間で剥離が起きている場合は「下地浮き」
②の間で剥離が起きている場合は「陶片浮き」
と種別され、補修方法が変わってきます。

クラック

コンクリート構造体の収縮に伴って生じるひび割れと、仕上げ面(タイル等)の収縮によるひび
割れが有ります。巾0.2mm以下のひび割れは一般的に許容範囲とされています。
ひび割れは、タイル、モルタルの剥離や落下の原因となり、人身事故の原因、建物自体の耐久性
にも影響を与えることが有りますので注意が必要です。

エフロレッセンス(白華現象)

ひび割れに雨水などが浸入してコンクリート内の水酸化石灰が、加水分解して水酸化カルシウムを
発生させて、コンクリートの劣化を促進させる現象です。白色物質がコンクリートの亀裂部分やタイル張
りの目地部分から外へ流れ出し結晶化しています。
エフロの発生そのものが、コンクリート構造物の対荷力等の信頼性を大きく低下させるものでは有
りませんが、発生すると構造物の美観が大幅に低下し、更にひび割れ部では鋼材腐食に
よる耐久性の低下も問題となります。 対策としては、主要因のひび割れや水分の移動
を押さえ同時に美観の回復も行う必要があります。

シーリングの劣化

ール材の寿命は一般的に10~15 年位であり、寿命が来るとシール材が硬化して、接着面に
隙間が生じるようになります。また、シール材接着部材の熱膨張係数に違いがあるため、お
互いの伸 縮の間に生じた隙間が漏水の原因となります。この状態を長期に放置すると
サッシ廻り及び躯体打継目地からの漏水事故の原因となり、躯体埋込部の隙間から雨水
が浸入して鉄筋が腐食膨張し、コンクリート欠落事故にもつながります。

こちらの記事で画像付きで損傷について記載しています。

外壁調査で劣化状況を把握する

平成20年4月1日に建築基準法第12条に基づく特定建築物定期報告制度が改正されました。
(12条点検、特建などと呼ばれる定期報告制度です。)

ざっくりした説明になりますが要するに

一定規模以上の建築物で仕上げ材の下地などにモルタルを使用している建物は10年に一度、外壁全面打診を行う義務があります。
いつからいつまでの10年なのか、
それは「前回の定期報告もしくは大規模修繕を行ってから10年」
です。ですので築10年、20年の建物で大規模修繕を一度も行っていない場合はそろそろ定期報告の時期かなと思ってもらうのが良いです。

特建の目的はまさしく外壁の劣化状況を確認し、剥落事故などを未然に防ぐ為です。
しかし現状は、まだ定期報告制度を知らないオーナーさんもおられ、行政から通知が来て慌てて調査会社に依頼するケースが多いようです。
しかし、慌てて調査を行うと予算も取れずに「とにかく安く調査しないと。。。」
の一択で、精度の低い調査になることもあります。
外壁調査を意味のあるものにする為にも、どのような手法で行っているのかを知り、築年数や状態によって適切な調査を行う必要があります。

また、前回の定期報告から10年経っていたとしても「この先3年以内に大規模修繕を行う」予定があれば、大規模修繕までの間は猶予され、大規模修繕を行えば定期報告は免除されますので、そのタイミング(10~13年毎)で定期的に大規模修繕を行っているケースもあります。

赤外線調査による外壁調査

赤外線調査とは

浮いている箇所と正常箇所との温度差でタイルの浮きを判別します。
浮いている状態は、タイルと下地、下地と躯体との間に空気層ができています。
その空気層に熱が滞留し、正常部より高温になり、タイルが浮いていると判別ができます。
しかし、高温の部分がすべて浮いているわけではありません。アルミの庇で太陽光が反射されて高温になっている部分であったり、汚れが高温に写ったりと浮き以外の要因で高温になっているケースも多々あります。経験と知識が豊富な業者に依頼するのが良いと思います。

どんな業者を選べばよいか

どう業者を判別するかは、報告書のサンプルを見せてもらいましょう!
建物の大きさにもよりますが、赤外線カメラで撮影した画像が1面に対して数枚程度しか載っていない報告書であれば、やめておいた方が良いです。
同じ個所でも引きの画像や拡大画像、角度を変えて撮影しているような報告書であれば、しっかりしている業者だと思います。

赤外線調査のメリット

・コストが抑えられる
・特定建築物定期報告の調査方法して認められている。
・工期が短期間で済む(ほとんどのケース1日で完了)
・居住者の負担が軽減できる。(音やプライバシー面)

赤外線調査のデメリット

・天候に左右される
※晴天日でないと調査ができない。曇りでも調査は不可になる。
・調査の精度は直接打診に比べ落ちる。
※大規模修繕の為の予算取りなどのケースには向いていない。

調査後の対策

定期的な経過観察と修繕計画

調査後、今にも剥落しそうな危険箇所などあればすぐに指摘してくれると思いますが、特に問題なければ報告書は2~4週間程度で完成すると思います。
報告書には損傷の代表的な写真をまとめた「写真台帳」と損傷箇所が記された「損傷図」、今の状態と今後の対策とがまとめられた「所見」などが記載されているかと思います。

修繕が必要な場合にはもちろん修繕を勧める文言もあるかと思いますが、報告書の内容を見た上で、自身や第3者の目でも確認し、状態を把握するのが良いと思います。
修繕必要なので5000万かかります、やりましょう!
なんて軽くはないでしょうが、修繕にはやっぱりお金がかかります。

定期的に調査と修繕を行っている建物であれば、調査に入った際も健全な状態を保っていることが多いです!
経年劣化はどうしても付いてくるものなので、損傷が一つもない建物なんてのはありません。
定期的に人の手を入れて、健全かつ美観も保つことで、結果的に外壁剥落によるリスクも回避でき、また資産価値を維持することにも繋がります。

外壁タイルの剥落事故を防ぐためには定期的な外壁調査が必要です。
また赤外線調査以外の調査方法についても書きたいと思います!

最後までお読みいただきありがとうございました👍


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